「10月26日夜6時」
「おはようございます。
私がホーマー・シンプソンの、大平透でございます。
今日お集まりいただいたのは、本当に、皆さんのお力で、ここまで来られたと。本当に感謝の気持ちで一杯です。
本当に、皆さんのお力というものの強大さを、今さらのように私は、感じております。
本来は、真っ先に私が出て行かなきゃいけなかったんだけど、私は一歩引いて、動きを見て、色んなとこから入る情報を整理して、最後の最後、マット・グレイニングに直談判してでも、切り札になろうと、そういうつもりでいたんです。
だから表に出ないで……でも段々皆さんの、『何とか、レギュラーキャスティングでやれ!』という、そういう気持ちを伺ってきて、やっぱり、やらなきゃなんないと。
そして誤解のないように申し上げておきますけども、キャスティングがああいう状態になった時点で、(出演された声優さんの中には)マネージャーを通して『映画の仕事が来たよ』『はいよ』っていうんで、簡単に受けてしまった人もいるし、『え、どうなってんだ』ってんで色々探って、『あ、それじゃ俺は出ない』って人もいました。
これは私、差別する気は毛頭ありません。みんな仕事として受けているんですから、マネージャーが悪いわけでも、その声優さんが悪いわけでもない。それだけはどうぞ、誤解なさらないようにしてください。みんな生活のために、働いているんですからね。
まあそれ以上に、損得云々に関係のないっていうか、損してもあんまり得のない、ファンの皆さんが、これだけ力を入れてくだすって、私は、これはこのまま(斬り合う動作)こうやってたんじゃあ、おさまりつかないと。大人の喧嘩ってのはね、最後まで斬り合っちゃいけないんですよ。
で、それを私はいちばん危惧して、SERIZO君にもそれを言って、何とか大人の解決で、振り上げた拳は、うまくおさめるように…これ、拳を持ち上げたら(と実際に腕を上げる)、殴るしかないんです、だけどそれを、うまく(振り上げた手を踊るような動作に変え)『ウ〜ウ〜ウ〜ウ』つって(拳を懐におさめる)こうね(笑)、おさめるのが大人。
そう思ったから、私は乗り出してきて、そして、今日、
お話をこれからする、テーマでもある、この、今日きたばっかりです。
DVD、シンプソンズの。
(一同、溜息)
チェックしてみたら(と脚本のページをめくる)こんなに出番があるんだよね!
誰かのブログに『大平透は高齢で…』なんて書いてあったけども(笑)(『とんでもない!』の声)。高齢なんですよ(笑)。78歳ですからね。もう、本当に、やりたかないんですよ(笑)。だから、文句言われたらね、『ああ、降りるよ』っていつでも言うつもりで(笑)。平気なんだ、そんなことは。うん、まあ、降りたら他の声優さんにね、迷惑かかるから、降りませんよ、頑張りますけど、
歌まであるんだよね!(会場・歓声・拍手)…この歳でね、オタマジャクシね…それで、一城みゆ希があれ、歌手だからね。もともと、NHK*1で『ヤングなんとか』*2で歌ってたんだから、うまいんだ、こいつが。うちのカラオケなんかだといつも95点とかね(会場・笑い)、癪にさわる点数取ってんだ(笑)。それが、一城が私のことを教えるからって担当者が言うから、「そんなんじゃダメだ」って、ちゃんと、プロを呼んできてと。今の歌い手さんていうのはこんな(親指と人差し指で短さを示し)小節ずつ、ほんのチョコチョコをつないで、完全に、歌になっちゃうんだよね。私はね、このDVDと同じ人が演出するディズニーの番組で、歌うたったんですよ。ちゃんとね、本職がきて、こうやって繋げてたら『おう俺ぁ歌うめえじゃないか』なぁんていう(笑)くらいね、うまく歌えたの。で、その前のあの…クリスマスの…人形の…なんだっけ…『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の、メイヤーをやったとき、あのときは悲惨だったね(笑)。もうディズニーの歌って難しいんだよね、オペラみたいで。そんなこともあったけど、あんときにちゃんと、こういう先生が来てくれたら俺は苦労しなかったのにと(笑)…すいません脱線して(会場・笑い)、で、
まず、ありがとうございましたと本当に感謝の気持ちと同時に、
いよいよ、10月30日から、このDVDの録音に入ります。
どうぞそれを、了承してください。
その代わりといっちゃあなんですが、何か、出来る形で、ファンの皆さんにお礼がしたいんです。
それが私の願いであり、で、皆さんにどうぞ、それを楽しみにしてください、それを言いたかったんですよ。
今まで皆さんが集まりやなんかで、カンパして、会場費や何か払ってるのを私、知っています。
そんなにまでしてね、私ら声優を応援してくださってる皆さんに対してね、感謝の気持ちを表したいんです。
だから、ひとつ、感謝の気持ちと同時に、どうぞこの、発進をね、祝ってやってほしいんです。
それが今日の、実は、お願いだったんです。
たったそれだけのことにね、こんなに足を運んでいただいて、本当に申し訳ないと思ってます。
…二十何年まえにね、大学生の女の子が、『大平透ファンクラブ』ってのを作りたいって来たんですよ。だから『あんた学生だろ?そんなね、プロの世界に足を踏み込むんじゃないよ』って叱ったんですよ。まあその子は、今も放送局に勤めて、広報をやってますけどね。で、叱ったんですけども、その頃は、パソコンなんてものが流行ってないから、それこそ、ガリ版刷りの、絵は手で描きーの、パンフレット配るだけのファンクラブでしたよ。で、結婚したりなんかして、いた子がみんなバラバラになって、とうとう、消えましたけどね…
だから私は、その時代のファンクラブを知ってるだけに、
まあなんて大勢の方が…尋常な気持ちじゃなくね…
シンプソンズを応援してくださってるってことにね、ほんとに涙が出るほど、感謝してますよ。
これは私ひとりじゃない、一城みゆ希も…あれは私のことをどこでも、新宿の駅でもどこでも、『パパ、パパ』言うからね(会場・笑い)、それを言われると困るんだけどね(笑)、そりゃ、この(脚本を示し)中ではパパかもしれないけどね!
だけど、まあ本当にね、ファミリーなんです。みんな、これ(シンプソンズ)に出てる人間どもが、ファミリーで、やってます。
ですから、皆さんも今度一緒にファミリーになっていただいて、
先々は先々で、また考えるとして、小規模でもいいじゃない、
ともかく、これがおさまって、全部終わったら、
ぜひそれを企画して、実行に移しますから、
どうぞひとつ、それを楽しみにしていてください。
(深々と頭を下げ)ありがとうございます!」